睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをする人は、8~16%と言われています。その音は非常に大きく、家族間の言い争いの種になることも少なくありません。「解消したい」「家族に治してほしい」と思う方も多いのではないでしょうか。 たしかに、食いしばりや歯ぎしりは、歯やあごの病気だけでなく、全身の病気につながることもあるので、放置しておくのはよくありません。しかし一方で、食いしばりや歯ぎしりを完全になくすと、別の問題が発生する可能性もあります。ここでは、歯ぎしりや食いしばりの原因について私見を述べ、歯ぎしりや食いしばりをなくすことの問題点とおすすめの改善策を解説します。
歯ぎしり・食いしばりは無意識にストレスを発散している!?
歯ぎしり・食いしばりの主な原因は以下の4つです・
- ストレスによるもの
- 習慣によるもの
- 骨格・噛み合わせによるもの
- 子供特有のもの
歯ぎしりや食いしばりの原因として最も多いのはストレスです。歯ぎしりや食いしばりを完治させるには、日々のストレスを取り除くことが必須です。とはいえ、現実問題として、日々のストレスから完全に解放されることは不可能です。そこで、ストレスの問題はひとまず置いておいて、食いしばりや歯ぎしりを治すための話をしましょう。とはいえ、何も考えずに食いしばりや歯ぎしりを治そうとすると、別の重大な問題に遭遇することがあります。
歯ぎしり・食いしばりを無理に治すと別の問題が発生する恐れ
ご存知のように、過度のストレスは人体に大きな悪影響を及ぼすと考えられています。気管支喘息、高血圧、胃潰瘍、糖尿病、蕁麻疹、突発性難聴、うつ病など、ストレスが原因で起こる病気はたくさんあります。
「やっぱりストレスを改善しないといけないのでは…?」
と思うかもしれませんが、人間の体はストレスを緩和する機能をちゃんと持っているんです。
ストレスを緩和する人体の機能
血圧や血糖値などを正常に保つ人体の仕組みは、”ホメオスタシス “と呼ばれています。過度なストレスがかかり続けると、この仕組みが壊れ、壊れたホメオスタシスを修復するのが “アロスタシス “と呼ばれる仕組みです。アロスタシスには、ストレスによって乱れたホメオスタシスを、エネルギーを使って安定させるという役割があるのです。ストレスがたまると、大声を出したり、ゴミ箱を蹴り倒したり、大声で泣きたくなったりすることがありますよね。これも一種のアロスタシスと言えるでしょう。
歯ぎしり・食いしばりを治すことはアロスタシアを停止させることに繋がるのでは
ここからは個人的な見解になりますが、歯ぎしりや食いしばりはアロスタシスの一種ではないか、ということです。口には、食べ物を噛む、飲み込む、話すなど、さまざまな機能があります。しかし、口のもうひとつの重要な役割は「攻撃」であり、この機能は現代ではほとんど使われていない。武術には禁じ手とされる技がいくつかあるが、金的や目潰しとともに「噛みつき」が出てくるのは、口が強力な武器であることの証左であると考えられます。このように考えると、食いしばりや歯ぎしりは、”口を武器にしてエネルギーを放出する行為 “と言えるのではないでしょうか。したがって、歯ぎしりや食いしばりを治すことは、もしかしたらその人のアロスタシスを停止させることにつながるかもしれません。アロスタシスが停止し、機能不全に陥ったホメオスタシスが修復されないと、ストレスにうまく対処できなくなります。その結果、上記のようなストレス性の病気にかかる可能性が高くなるのです。これも、歯ぎしりや食いしばりを治すことで生じる問題です。
とは言え放置は良くない
だからといって歯ぎしりや食いしばりを放置していいわけではありません。なぜなら、歯ぎしりや食いしばりは、さまざまな病気を引き起こす可能性もあるからです。下の表は、歯ぎしりや食いしばりを続けた結果、影響が出る可能性のある部位や症状についてまとめたものです。
部位 | 症状 |
---|---|
歯 | 歯の磨耗、歯の破折、歯がしみる、噛むと痛いなど |
歯周組織 | 歯肉炎、歯周疾患(歯周炎=歯槽膿漏) |
顎関節 | 顎関節痛、開口障害、カックン音など |
全身 | 顔面痛、頭痛、肩こり、腕のしびれ、腰痛など |
その他 | 舌痛症(舌に痛みが出る病気)、むちうち症状、倦怠感など |
歯ぎしり・食いしばりの力は、自身の体重の2〜5倍と言われるほど強力です。
つまり、女性でも100kg以上の力が歯や顎にかかるので、歯や顎が悪くなるのは当然と言えますね。
歯ぎしり・食いしばりはナイトガードで緩和するのが良い
食いしばりや歯ぎしりの治療で大切なことは、「治すのではなく、和らげること」だと考えています。つまり、食いしばりや歯ぎしりそのものを治療するのではなく、それによって引き起こされる歯やあごへのダメージを軽減するのです。 【ナイトガード】は睡眠専用のマウスピースで、寝るときに装着することで、顎にかかる負担を早急に軽減し、歯ぎしりの不快な音を防ぐことができます。「なんだか寝にくそう」と思われるかもしれませんが、慣れれば大丈夫です。 実際に使用している方は、皆さん「慣れれば気にならなくなる」とおっしゃっています。また、各種保険を使って作ることができるため、費用も4,000円~5,000円程度で済みます。 ご自身やご家族が睡眠中の歯ぎしりや食いしばりでお悩みでしたら、ぜひこの治療をご検討ください。
歯ぎしり・食いしばりまとめ
歯ぎしりや食いしばりの悪影響を軽減するために、ナイトガードの使用を推奨します。家族に歯ぎしりをしている人がいたら、「うるさいな」と思うのではなく、「ストレスで頑張っているんだ」と考え、翌朝、優しい言葉で歯医者に行くように促してあげましょう。歯医者さんで作ったナイトガードは、顎や歯への負担を軽減し、大きな音を出さずに睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによるストレスも解消してくれるのです。家族みんなが快適に眠れ、朝には笑顔で挨拶ができるようになるため、ストレスはさらに軽減されるでしょう。現代社会では、ストレスから完全に逃れることは不可能です。それならば、ナイトガードというストレスとの正しい付き合い方を知っておく方が賢明でしょう。