夜間や外出先で、歯がズキズキと痛んだことはありませんか?「今まさにその状態です!」という方もいるかもしれません。多くの人が人生のどこかで歯の痛みを経験しています。今回は、深夜や移動中に歯が痛くなったときの対処法をご紹介します。
深夜や旅行先で歯が痛くなったら救急外来か休日・夜間診療を活用しよう
“深夜や旅行中は歯医者に行けない!”と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、緊急外来や休日・夜間診療を行ってる歯科医院もあります。深夜や旅行先で歯が痛くなったら、こうしたサービスを利用するのがおすすめです。救急外来はほとんどの地域にあり、24時間365日対応しています。しかし、救急外来は主に交通事故や外傷など重症の患者さんに対応します。状況によっては、救急外来に行っても対応してもらえない可能性が高いので、事前に確認してから向かうことをおすすめします。一方、地域の歯科医師会に所属している歯科医師は、休日や夜間の診療を交代制で担当しています。緊急度に関係なく治療を行ってくれますので、事前に電話で予約してください。”もう我慢できない!”という状態の方は、「(地域名)歯科医師会 夜間(または休日)」で検索し、問い合わせをしましょう。
自分でできる対処法は?正露丸は歯痛に効く?
「明日は仕事だから……」「旅行を楽しみたいから……」と考える人は多いかもしれません。しかし、深夜や旅行中に歯が痛くなったときに患者自身ができることは、痛いところを氷や冷えピタで冷やすか、薬局で痛み止めを買って飲むなどの応急処置しかありません。症状が改善することはありませんので、できるだけ早く歯医者さんに行きましょう。「歯が痛くなったら正露丸で虫歯を埋めればいい」なんて昔はよく言いましたが、臭いを考えるとあまりお勧めできません。確かに正露丸に含まれる成分で歯の痛みを抑えることはできます。しかし、我慢できないほどの痛みは、重大な緊急事態です。なぜなら歯の病気は痛みを伴わないものも多いからです。正露丸で痛みを誤魔化し「とりあえず大丈夫だろう」と放置していると、効果が切れる頃には症状が悪化していることもあります。氷や風邪薬、鎮痛剤、正露丸はあくまでも痛みを和らげるための手段です。どうせ後で歯科医院に行かなければならないのであれば、臭いのない氷や冷えピタ、痛み止めの方が良いのです。また、以下の場合は痛みが増し、場合によっては麻酔が効かないこともある要注意行動です。
- 患部を歯ブラシで無理に磨く
- 患部をつまようじなどでほじくる
- お酒を飲む
歯の病気で痛みがある場合は、病気がかなり進行していることを示しています。歯ブラシや爪楊枝、あるいは飲酒で何とかしようとするのは無謀と言わざるを得ません。また、お酒を飲みすぎて酔っている場合は、他の患者さんへの配慮から、歯科医師が治療を拒否することもあります。我慢できないほどの痛みがある場合は、早めに専門の歯科医院を受診することが最善かつ最速の対処法です。
急な歯痛がないよう日々のメンテナンスをしっかりしよう
歯は一度痛み始めると、痛みの悪化を防ぐことは困難です。特に歯の痛みは食事中や夜間に悪化することが多く、食事や睡眠が難しくなります。しかし、歯の痛みは突然やってくるものではありません。歯や歯ぐきがピリピリする、ちょっとした飲食で痛むなど、事前に予兆がある場合がほとんどです。そんな時に相談できる歯医者さんを持つことが大切です。かかりつけの歯医者があれば、定期的に検診を受けることができるので、異常を早期に発見し、適切な治療を行うことができます。また、長期休暇中にトラブルが起こりそうな場合は事前に薬を処方してもらったり、何かあったときに休日や夜間でも対応してくれる歯科医院を紹介してもらったりすることも可能です。いずれにせよ、痛みが大きな問題になる前に、適切な対処と準備をすることが基本です。痛みがあると生活に支障をきたすだけでなく、多くの場合、歯そのものを抜かなければならないこともあります。放っておくと、歯の神経や顎の骨にまで細菌が広がり、どんどん状況が悪化してしまいます。大切なのは、病気になってからではなく、病気になる前に治療をすることです。そのためにも信頼できるかかりつけ医院を見つけて、口内の健康を常に管理することが大切です。
まとめ
深夜や旅行中に歯が痛くなったとき患者さん自身ができることは、歯を冷やしたり痛み止めで応急処置をしながら歯科医院の救急外来や休日夜間診療所に行き、正しい治療をしてもらうことです。しかし、虫歯にしろ歯周病にしろ、1回の通院で治療が完了するわけではありません。その場は痛みがなくなっても、放っておくとすぐに再発してしまいます。そのため、救急病院や休日・夜間診療所でお世話になった後でも、手の届く範囲の歯科医院できちんと治療を完了させることが必要なのです。この機会に、信頼できるかかりつけの歯科医院を探してみてはいかがでしょうか? 歯科にしろ内科にしろ、今の医療は予防型です。健康診断や人間ドックと同じように、日常的に歯科医院でお口のメンテナンスをすることで、健康で健全な生活を送っていただければと思います。